都市基盤整備事業推進大会
平成28年度 都市基盤整備事業推進大会
意見発表
全国土地区画整理事業推進協議会代表
兵庫県川西市長 大塩民生
ただいまご紹介いただきました川西市長の大塩民生でございます。本日は、このような機会を与えてくださり、御礼申し上げます。「キセラ川西整備事業におけるPFIと低炭素によるまちづくり 新たな公共空間と市民との関係」と題して発表させていただきます。
「キセラ川西整備事業」は、区画整理とそれと並行して取組むまちづくりの総称で、「キセラ」とは、輝きの「キ」、せせらぎの「セ」、都を表す洛の「ラ」を合わせた造語で、市民公募によるこの地区の名称でございます。
川西市は、兵庫県の東の玄関口で、大阪府に隣接し、伊丹空港から北に5km、大阪駅から16kmに位置します。とりわけ大阪への通勤圏のベッドタウンとして発展してきた側面を持っています。地形は南北に長く、北部の大半は市街化調整区域で日本一の里山が広がる一方、中部には大規模開発団地が集積しています。また、南部は中心市街地の都会的な要素と、イチジク、桃、栗といった特産品など、多様な資源による都会と自然とのバランスが都市の特徴です。
伝統文化では、清和源氏発祥の地である多田神社は天禄元年、970年に建立され本殿などは国の重要文化財に、境内全体は国の史跡に指定されており、毎年4月に源氏祭りが盛大に行なわれています。
さて、南北に細長い本市の都市構造は、東軸に国道173号とそれと並行する能勢電鉄、西軸に都市計画道路川西-猪名川線が、それぞれ南北を貫き、これらに張り付くように大規模開発団地がクラスターを形成しています。
本市が全国に先駆けた昭和42年の宅地開発指導要綱による開発団地の誘致によって、20ヘクタールを超える開発団地が10箇所を数えます。
開発団地は現在、全人口の40%、市街化区域面積の45%を占めており、平成元年に完成した川西能勢口駅前再開発による人口増加も含めて、本市は典型的な住宅都市であります。
本日ご紹介する事業は、この場所、市の玄関口である南部の中心部に位置します。
本事業を一言でいえば、工場跡地からの土地利用転換です。この地区は以前は皮革工場の集積地でした。最盛期の昭和50年代には100社を超える工場が密集していましたが、その後の時代の変化によって、平成7年に再開発が要望され、平成10年に住宅街区整備事業の都市計画決定、平成15年にはそれが頓挫、平成16年から20年にかけての市単独費による工場の転廃業事業を経て、皮革工場の敷地が更地となり、区画整理事業の準備が整いました。
このように本事業は歴年抱えてきた本市の大きな課題、宿命でありました。
この事業の特徴は、「照応の原則」ではなく「集約換地」であること、都市基盤整備にPFI事業を導入していること、低炭素のまちづくりを目指していること、そして土壌汚染対策が挙げられます。土地区画整理事業でのPFI事業の導入は全国で3例しかなく、珍しい取り組みかと思っております。
本日は、PFIを中心とした公共空間と市民との関係についてご紹介したいと思います。
PFIは、ハード業務として、平成25年度から平成28年度にかけて都市基盤整備を、その後、平成34年度まで維持管理を行うこととなっております。一方、ソフト業務として事業全体を通じて実施するまちづくりコーディネート業務を、さらに、市有地を売却する担保に民間開発事業を誘致する業務をセットにしているという特徴があります。
次に、公共空間と市民との関係ですが、整備した後の利用に重点を置いて考えてきました。施設を造る設計の段階から施工段階においても市民参加を促すことで、新たに整備する公共空間が広く市民に親しまれ、市民の施設に対する愛着、すなわちシビックプライドを醸成することを狙いとしています。
このような設計段階からの一貫、かつ、徹底した市民参加の取組みは、公共空間の利用、運営のステージにおける「協働」を実現し、市民のパブリックライフに繋がるものと期待しています。
地区のシンボルとなる中央公園とせせらぎ遊歩道の整備において、切れ目のない市民参加をPFIに位置づけ、中央公園の里庭エリアなど4つのゾーニングや、せせらぎ遊歩道のホタル護岸などを含め、市民意見をふんだんに設計に取り入れました。
その象徴となる「里庭エリア」は、市域北部の日本一の里山である黒川地区を再現できないかという市民の想いから生まれました。 そして、それを具現化するために、黒川地区から里山のシンボルであるエドヒガン桜と台場クヌギを移植することとしました。 台場クヌギは、特徴のある木ですが、黒川地区の皆さんのご協力もあって順調に進んでおり、市域の北部と南部との交流の架け橋にもなってくれるよう期待しています。
移植はプラントハンターである西畠清順氏の発案ですが、彼はキセラ川西が小学校の通学路だったという生粋の川西市民です。
平成23年に設計から始めたワークショップは、現在6年目となり、供用開始後に市民が主体となって実施するプログラム作りというソフトの視点での展開にシフトしています。
その中で、ホタルを復活させる取り組みも行われており、せせらぎ水路の水生生物の調査などを、その道の専門家である市民が中心となって展開されています。
また、プレーパーク活動と言いまして、子どもが公園を利用して自由な発想で創造的に遊ぶ市民活動も、市民ワークショップがきっかけとなって生まれました。
さらに、低炭素まちづくりでは、PFIでも推進し、建築行為に際しての手続き条例を制定して、権利者が土地利用を行う際に事前協議を義務付けて、街の低炭素化を着実に進めています。
平成7年から足かけ25年を要するキセラ川西整備事業ですが、現在、ここまで来ることができました。来年度には工事が概成し、3年後の平成31年度に区画整理事業が、6年後の平成34年度にPFI事業が完了する予定です。
発表は以上です。ご清聴ありがとうございました。
都市再開発促進協議会代表
大阪府高石市長 阪口伸六
皆様こんにちは。本日はこの都市基盤整備事業推進大会、都市再開発促進協議会を代表しての発表という命を承りまして、非常に光栄に存じております。
後ほどご紹介いたしますが、本当に小さなまちの市長でございますが、気合い一杯でやらせて頂きたいと思います。また、林横浜市長・桑野先生、すばらしい話をありがとうございました。今日、話を聞きながら女性の姿どれだけあるかなと見ていたんですが少ないです。しかし、土木の世界は男所帯ですから、その中に女性がおられると言うことは非常に力強く思います。
高石市の話です。羽衣駅前地区第一種市街地再開発事業でございます。お願いいたします。高石市は地図をご覧頂いたとおりでございますが、難波、大阪中心部から15分、そして関西空港から30分という、非常に交通至便なまちであります。
コンパクトなまちでございまして、昔は素晴らしい砂浜がございました。「音に聞く高師浜のあだ波はかけじや袖の濡れもこそすれ」という百人一首に唄があるんです。ワンシーズンに百万人が訪れた素晴らしい海水浴場があったんです。それが、今は、コンビナートとして整備されまして、その工場夜景が大人気でございます。リオオリンピックの日本ブースにも展示されました。工場夜景ツアーもたくさんの、おじいちゃんおばあちゃんもお孫さんを連れて、あるいは女子大生のグループとか、若いお父さんお母さんとか、たくさんおられます。40人から50人ぐらいのバス一台に700人募集が来るほど、大人気です。工場夜景をラッピングした列車の運行も行っています。
そして羽衣駅前地区第一種市街地再開発事業についてです。地図を見て頂いたらわかりやすいと思うんですが、赤いラインが南海電車でございます。ブルーがJR阪和線でございます。大阪の中心部なんば・天王寺から和歌山に向いて走っております。左の海が大阪湾で関西国際空港がございます。交通アクセスの要と言うことになってまして、この南海電車あるいはJR阪和線を通りまして、新大阪等々から京都・北陸、また近鉄電車で奈良・伊勢とか、阪急や阪神等で神戸へ、JRで広島や和歌山にも行けます。ということで、いろいろな各観光名所をつないでいる、まさに一番の入り口みたいなところであります。
2012年頃、380万人ぐらいの関西国際空港の外国人旅客数でございますが、なんと、去年、1100万人です。3倍でございます。石井国土交通大臣にも申し上げて、入管等のCIQ体制もバックアップして頂いておりますが、まだまだ外国人旅客数は増えるのではないかと思います。
その中で、我が高石市が交通結節点のところを担っているわけであります。関西国際空港と大阪市内を結ぶ鉄道アクセス、南海とJRの2つがございますが、南海羽衣駅とJR東羽衣駅という駅がありまして、この羽衣地区でつながっております。南海電車や阪和線に乗られた方ならわかると思いますが、LCCが特に関西空港は多いですけれども、もう、トランク抱えた若い子が、隣はベトナム、こっちは韓国、向かいは台湾とかですね。そんな状態であります。その方々がまさに観光インバウンドで、どんどん、どんどん関西に中国・四国・北陸、そしてゴールデンルートで東海・関東に来るわけです。この交通結節点を私ども高石市が担っているということです。
このような地区で再開発事業を進めております。JR東羽衣駅が地図の上にありますけれども、これはすでに高架になっていますが、バリアフリー化できていない現状です。現在、地図の真ん中にあります南海羽衣駅という駅ですけども、おかげさまで連続立体交差事業、平成8年に事業採択を頂きまして、関西空港・和歌山方面行き下り線が高架完成いたしました。どうもありがとうございます。現在、急ピッチで上り線も進めるわけでございますけれども、この南海羽衣駅とJR東羽衣駅とのあいだで再開発事業を行っています。
これは、朝8時前くらいの通勤・通学の状況を映した映像です。もう見たらわかると思いますが、ひどく危険な状態です。まだ南海本線の高架事業ができてません。片一方まだ踏切があるんです。だから踏切が閉まったときに、車も止まってますからみんな一斉に渡るわけです。そして踏切があいたら、また車が動き出す。そこを忍者のようにみんな走って乗り換えする大変危険な状況です。
実際にどのような形で整備するかというと、2駅を再開発ビルを介してペデストリアンデッキでつなごうと、再開発ビルにプラスアルファでデッキ整備をお願いいたしました。そして、国土交通省さんのほうでも、それは必要ということでご支援をいただけることになっております。小さいまちでございますけれども、この関西国際空港のインバウンドを皆様方に提供するために全力でやっていこうということでございます。
再開発事業、総事業費は88億円。デッキ整備費は約9億円ということでございまして、子育て支援センターとか、あるいは商業施設も一部やりますが、基本的には住宅棟で、筋肉質の再開発となっております。本市も財政再建という大変な時があったんですが、それを乗り越えて、今やっとこの再開発事業が出来るところまで来ました。まさに乾坤一擲であります。それを今何とかやり遂げようということでやっております。
小さいまちの取り組みではございますが、ご参考になれば御幸甚でございます。1700・全国市町村でいろんな再開発事業、まちの玄関口としてやっていきたいとの思いを持っていると思います。是非、力合わせて大いに盛り上げて、再開発事業含め、連続立体交差事業も含め、街路関係の予算獲得、ともに頑張ろうじゃありませんか。
以上でございます。ありがとうございました。